私が帰る前に、専務は明日は頼む、と言って帰って行った。

私も、帰り支度をしていた。

♪♪♪♪♪

瑠璃からの着信だった。

「どうしたの?」

「涼香、仕事終わった?」

「終わったよ。今から帰るとこだけど?」

「よかった。今、近くにいるの。明日の事で話あるから、裏通りで待ってるから来て?」

「え?あ、うん。分かった」

瑠璃の話って、なんだろう?
電話を終えた私は慌てて、帰り支度をして、瑠璃が待つ裏通りに向かった。


裏通りに出て車を探す。

あ、あれか。

ハザードランプが点滅している、一台の白の車が停まっていた。


近くまで行き、運転席を覗きこむと天城さんがいた。

「こんばんは、天城さん」

「涼香さん。どうも、さ、こちらに乗って下さい」

天城さんは、車から降りてきて後部座席ドアを開けてくれた。

「ごめんね、涼香。会社の近くで捕まえてしまって」

「ううん、どうしたの?」

車に乗り込もうとする私にめずらしく謝る瑠璃。

「瑠璃、いつもの店でいいかな?」

「ええ、あそこでいいわ。お願い」

天城さんと何か話をしてから、私に向き直った瑠璃。

「涼香、明日のパーティだけど、 まさかスーツで行こうとしてないよね?」