「さんみー」

「鼻の頭赤いよ」


 まず冬に温まるにはラーメンだろ。

 学校帰り、春夏秋冬問わず通いつめた行きつけのラーメン屋“虎飯(とらはん)”は、チャーシューも鳴門もきくらげも麺も、そのどれを取っても最高に美味い。

 因みにラーメンの要とも言えるスープは、ちょっと味が濃くて辛い。


 入るなり私は豚骨塩バターラーメンを、日野は味噌コーンラーメンを注文して黙々と食した。
 二人してスープを飲み干して、げふりとゲップを吐き出すと鼻を垂らした私に、隣から紙ナプキンをあてがわれる。


「さんきゅーです」

「頼むよ仮にも女子」

「日野が女子力高いんだろ」

「乾燥対策にスキンケア超するもんね」

「マジでちょっと引いた」

「と、二組の藤村が言っていた」

「あいつそんなことしてんのな」