たくさんはしゃいだため、帰る頃にはもうクタクタだった。


電車に乗るとちょうど2席分空いていたため、優にぃと隣同士で座る。



「今度、朱里ちゃんと水着買いに行くんだ。夏になったらプール行こうよ!」


「いいけど、俺ガチ泳ぎするよ」


「ええっ? それはちょっと……」


「あははっ、冗談だって」



家族連れや若者が多い電車内。


しばらく優にぃと楽しくしゃべっていたけれど、次第にうとうとしてしきた。



こくりと船を漕ぎ、慌てて目を覚ます。


再び記憶が途切れる。逆側のおじさんの肩にぶつかりそうになり、また起きる。



ふと、頭に優しい感触があった。


再びおじさんにぶつかりそうになったのだろう。


優にぃがわたしの頭を自分の肩に寄せてくれた。


電車の揺れが気持ちよかったから、彼の肩を借りたまま、わたしは目を閉じた。



本当は起きていたけれど、寝たふりをしておいた。


自分がおかしいのは分かっている。


でも、優にぃに触れている部分が温かくて、早まる鼓動も気持ちがいい。


このままずっと家に着かなきゃいいのにと思った。