何をしているんだろう…こんなことをしても琴音への罪悪感が消えるはずもないのに。辿り着いたのは体育館裏。私はこっそり隠れて彼女達の声に耳を澄ます。

琴音が呼び出された理由はなんとなく想像がつく。


「あんたさ、早く咲都くんと別れなよ」


「いつまで付き合ってるつもり?
あんたがいるから私から離れちゃったんだよ」


きっと、サキが荒れていたときに遊んでいた先輩たちなのかもしれない。琴音はただ俯いて何も言わない。


──『早く言えよ。私は男たらしですってね』


つい、思い出したくもない記憶が脳裏に蘇る。


「……」


「黙ってないで早く…「あのー」


気づけば私は足を動かして体を彼女たちの前に出していた。

先輩たちの怪訝そうな表情は私が現れたことによって余計に深みを増した。琴音はわかりやすいほど驚いた顔をしていた。

まあ、当たり前か。