大和くんは口数は少ないものの、スポーツマンだし顔もかっこいい。


彼を好きな女子も数名いると聞いたこともある。



案の定、次の日、女子たちがわたしの席にやってきて、


「綾ちゃんごめんね~昨日掃除お願いしちゃって~」という嫌味っぽい謝罪をした後。


「うちらがサボったこと大和にチクったんだって。で、大和がキレたらしいよ」


「うーわ。何で女子の問題に男子巻き込むかなぁ」


「綾ちゃん、本当はすげー性格悪いんじゃね?」


と聞こえるようにわたしの噂を始めた。



ちなみに当の大和くんは机に突っ伏して睡眠中。


自覚はなさそうだけど影響力があるんだから、もうわたしに構わないでほしい。



休み時間の今、教室では大小さまざまな声が行き交っている。


内容は、部活の話、先生の悪口、誰と誰が仲いいという噂、アイドルやアニメの話、とかいろいろ。


教室では本を読んだり、勉強したりすることが多いわたしは、どの話題にも興味が持てなかった。


時々会話をしてくれる女子がいるおかげで孤立はしていない。



だけど、この教室は、居心地が悪い。


ううん。大丈夫だ。土曜日まで頑張ろう。