そして週明け、高瀬涼香が専務秘書として俺の部屋に案内されてきた。
匠の後ろを歩く彼女を見た。

普通だな。
着ている物はブランド物だが派手過ぎず、しかし、地味でもなく選んだのだろうと推察出来た。
ここの秘書課のアタマのない女とは違うと言う事か。

「え、はい。高瀬涼香です。よろしくお願いします」

匠に促されて挨拶をした彼女は、遠慮がちに俺を見た。

俊哉叔父さんが言っていたが、控えめと言うより、地味だな。
ま、秘書にオンナを求めてないから、これぐらいがちょうどいいのかも、な。

後は匠に任せて、明日から一人でどこまで出来るか見極めよう。




就業後、匠に仕事ぶりを聞いた。

「ただもんじゃない」

匠から、そんな言葉を聞くとは思わなかった。しかも…

「頭の回転は早いし、順応性があるよ。蓮の秘書にしておくのがもったいないぐらいだよ。なんなら俺の補佐に欲しいぐらいだけど?」

だと?

万能なあいつにそこまで言わせたなら、お手並み拝見といこうじゃないか。

俺は、高瀬涼香という秘書に興味を持ち始めていた。