ケータイ小説 野いちご

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生徒会長時給850円!


『じゃあ、明日の11時頃に待ってるね!』
『ああ、楽しみにしている。また明日。』

私はスマホをぎゅっと握り、思わずにやにやとしてしまった。

明日はとうとう文化祭本番。11時に夜宵君のクラスに行く約束をしたのだ。

「明日、マサ君に会える……」

その瞬間、ドアが勢いよく開いた。

「美世ちゃん!」
「入るわよー!」
「……エホンエホン!!」

登場したのは伯父さんと伯母さん。ノックなしかよ! うっかりスマホを落とすところだった。

「あ、ちょっと邪魔しちゃったかな?」
「ごめんなさいね、彼氏と連絡してたのに……」
「……構わん。あと、彼氏などいない!」

からかう夫婦に、私は顔をそらした。全く、私がわかりやすいだけなのか、この2人の勘がいいのか……。

「どうしたんだ、2人とも?」

そう問うと、2人は部屋に入り、ゆっくりと近くに腰を下ろした。

「美世ちゃん、今日まで文化祭の準備お疲れ様。明日やることはほとんどないから、精一杯楽しんでね!」

伯父さんがにこりと笑ってそう言うと、伯母さんも続けて話し始めた。

「明日文化祭ができるのも、美世ちゃんの頑張りのおかげよ。一度は中止になったのだから。明日は1人の女子高生として、思い切り青春してきて!」

女子高生……。私は、本当は高校生ではない。高校生のふりをして、学校に侵入している、ただのバイト。

でも、あれから2ヶ月くらい経って、色んな経験をさせてもらった。金をもらう嬉しさや、誰かと話す楽しさを……。

バイトのような、学生のような、中途半端な立ち位置だけど、今が1番幸せだ。本当にここへ来てよかった。

優しく微笑みかける伯父さんと伯母さんに、私もつい口がほころんだ。

「……ありがとう。色々あったけど、明日楽しんでくるよ」

昨年の文化祭に何をしたか、ほとんど覚えていない。ただ、1人で過ごしていたことだけは記憶している。

……今年は、誰かと時間をともにできるかな?

「孝則さん、明日こそは、美世ちゃんの写真をたくさん撮ってきてね?」
「オッケー! いっぱい撮ってくるよ!」
「ちょっと待て! 恥ずかしいからやめてくれよ!」

だから、撮られても困るって。……でもまあ、記念に1枚くらいなら……。

「私、美世ちゃんの仲良しのお友達を見てみたいのよー。どんなイケメンなのかしら?」
「あ、この前校長室に来た子達、全員イケメンだったよね!」
「確かにな。兵藤君は顔を見たことないが」

そういやあの人の顔、まだわからんな。へいちゃんがイケメンだから、兄もきっとそうだろう。

どんな日になるのかな。TCBが集まったらカオスになりそうだが、それも含めて楽しみだ。

明日は何か、いいことが起きたらいいな。まるで幼い子どものように、私はそう感じた。

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