「ありがとう……」
おばあちゃんにお礼を言ってから、出かける支度をして家を出た。
何を買おうかなあ……。
この前、隣町のショッピングモールに行った時に見かけた新作の可愛い色をしたリップにしようかな。
でも、夏服も欲しいなあ。
欲しいものがありすぎて困る。
うーん、と悩んでいると後ろから「ナツ」と名前を呼ばれ、慌てて振り返るとそこには深刻そうな表情を浮かべたサキが立っていた。
なにその顔……。
サキの深刻そうな表情からいい話をされるわけではないということは予測できているからこそ、聞きたくない。
今すぐここから逃げ出してサキの言葉を聞けないようにしたい。耳を塞いで音も何も聞こえないようにしたい。
サキの言いたいことくらい、分かるよ。
わかってしまうんだよ。
お願いだから、言わないで。