ケータイ小説 野いちご

100日間、あふれるほどの「好き」を教えてくれたきみへ




「おお、海月(みづき)おはよう」


新聞片手に愛想笑いを浮かべている人は、この家の大黒柱でもある忠彦(ただひこ)さん。

人当たりもよくこの家では一番私に優しくしてくれるけど、婿養子なので妻である晴江(はるえ)さんには頭が上がらない。



「あなた、また学校からのプリント私に見せなかったでしょう」


湯気が立つお味噌汁を口に付けながら、晴江さんは私を見ない。同じ空間にいて会話もするのに、放たれる空気感で私のことを攻撃してくる感じがすごく〝あの人〟に似てる。


「いいじゃん。お母さん。どうせ同じクラスなんだし、私が見せたプリントと内容は同じなんだからさ」

甲高い声で喋るこの子は、美波(みなみ)という名前。


この家の一人娘であり、父親よりも母親に媚を売っておけば好きな物が買って貰えるから、晴江さんの前では常にいい子でいる。


尻に敷かれている父と、世間体ばかりを気にする母に、要領のいい娘。


そんなごく普通の家族の中で、唯一変わってることと言えば、家族じゃない私が一緒に住んでいることぐらいだ。



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