「今度、いつ海に出るの?」

「実は三日後なんだ。……また長い航海になるし、連絡もまったく取れなくなると思う」

「そっか」

三日後――。
じゃあもう会えるのはまたしばらくお預けになるんだね。私も今日から仕事が忙しくなるし。

「だから戻ってきたら、一番に会いに来る」

「えっ?」

顔を上げると、触れるだけのキスが落とされた。そしてまた力いっぱい抱きしめられる。

「待ってて」

「……うん」

待ってる。ずっとずっと――。

それからギリギリに時間までふたりでベッドの中で過ごし、簡単に作った朝食をふたりで食べて。いよいよ、別れの時間。

ある物を手にして彼を玄関先まで見送る。

スニーカーを履き、振り返った織田くんに私は手にしていたものを差し出した。

「織田くん、これ……持っていてくれる?」

「これ……」

私が彼に差し出したもの。それはこの部屋の合鍵だった。

「ほら、私不規則な仕事だから、帰りが遅い時は遅いじゃない? そんな日に織田くんが戻ってきて、会えないのは嫌だから」

「滝本……」