「では、この袋に草を入れてください」
周りはみんな主婦さんばかりで完全に私は浮いている。だけど、我慢だ我慢。
一人で黙々としていればこんなのすぐ終わる。そう言い聞かせて役員の人から袋を受け取る。
陸上部の人の姿も見えたが琴音の姿は見つからなかった。正直、それにホッと胸を撫で下ろしていた。
休みなのかな……。
主婦さんたちは楽しそうに話しながら草を抜いていた。そんな中に学生が一人で入る勇気はないので、私は隅の方に移動して体育館裏近くの場所で黙々と草を抜いていた。
どうしてこの場所を選んだのかには理由があった。
だって、ここにくると……
「立花……!」
「はい…っ!」
「ナイスシュート!」
「ありがとうございます!」
サキが部活をしている声が聞こえると思ったから。
姿は見えなくても音や声だけ聞けるだけでいいんだ。
目を閉じればすぐに思い出せるから。
サキのバスケをしている姿が頭に焼きついている。