俺は、琴音をナツの代わりに利用したつもりはない。それにナツの代わりなんてどうやって無理だ。


「私、もう耐えられない…っ
咲都が夏葵と仲良くしてるのも……色んな人たちか嫌味だったり呼び出されて悪口言われるのも……っ」


堰が切れたようにポロポロと涙を流す琴音。
俺の部活着が琴音の悲しく寂しさの詰まった涙で濡れていく。


俺は、言葉を失った。

だって俺のせいで琴音が
そんな目に遭っていたなんて知らなかった。

俺が思っていた以上に琴音は大変な目に遭っていた。嫌味を言われて、辛かっただろう。
俺との関係が壊れるのが嫌で言えなかったのかな。

ナツとのことも……やっぱり気にしていたんだろう。もうきっとバレたんだな、俺がナツが好きなことを。