神社の奥の方へと進むと屋台がなくなり、明かりも少なくなってきた。辺りは雑木林のようになっていて、その奥には境内がある。

境内のそばに〝おみくじ〟と書かれた看板とテントが張ってあるのが見えた。

そういえば、麻衣ちゃんが『好きな人と一緒に神社を参拝しておみくじを引くと、その人と結ばれるというジンクスがある』って言ってたよね。

普段なら素通りしていたと思うけれど、ジンクスを知ってしまった今は気になって仕方ない。そんなものは信じないタイプだったのに、いざとなるとすがりたくなっちゃうもんなんだ。

心境の変化に自分自身が驚いた。

「み、水野君。神社を参拝しておみくじ引かない?」

「え?」

食べ物にしか興味を示していなかった水野君は怪訝に眉をひそめた。

そりゃそうだよね、なんで参拝しておみくじなのって思うよね。

ジンクスのことなんてきっと知らないだろうけど、もし知ってたらどうしよう。好きだって言ってるようなもんだもんね。

「あ、えっと。お祭りの日に参拝しておみくじを引くと、運気が上がるとかなんとか聞いたような……」

曖昧にごまかしてみる。こんなんで引く気になるとは思えないけれど……。

「運気が上がるって、マジ? じゃあ、やってみるか」

って、引くんかーい!!