あなたを思って勝手に引いた一歩を、あなたはするりと掬い上げてくれる。


きっと無意識のこと。きっと、あなたにとってはなんでもないこと。


でも。


でも。どうしようもなく嬉しい。


とりあえずぼろぼろの手は、ハンドクリームを変えてみるとか、合間を見てもっと意識して保湿するとかしよう。

お掃除も頑張ろう。声がけだって、もっと。


……ああ、泣きそうだ。


四年越しの答え合わせは、きっと間違っていなかったんだって、きっとあれでよかったんだって、涙に揺れる合格をくれた。


一生懸命ではなくて、真面目でもなくて、勤勉。勤勉さ。それだけで報われる。


頑張ろう、と思った。


拾い上げたあなたの何気ない言葉を、精一杯かき集める。


そうしてそっと胸に抱いたなら、いつだってなんだって、どんなことだって、頑張れると、思った。