「蓮見……先生…?」

掠れた声で、彼の名を呼ぶ。

彼は、自傷行為で血だらけの、醜穢なぼくの拘束具を外した。

「本当は、もう、君を傷つけたくないんだ。だから、消えてくれ、レイ。」

彼に、今まで一度も名前を呼ばれたことはなかった。

気にすることではないはずなのに、今のぼくには、狂おしいほどに、嬉しかった。

いつもの冷淡な顔が、涙でどろどろになり、苦しそうな彼を、ぼくは綺麗だと思った。