「華(はな)ちゃん華ちゃん華ちゃん」

私の名前を連呼するのは、私の親友の美波(みなみ)だ。

美波とは高校の入学式の日に私が話しかけたのがきっかけで仲良くなった。
お互い、同じ中学の人がいないということもあり、私達はすっかり親友となったのだ。

二年生になってクラスは離れてしまったけれど、そのあとも仲良くしている。

今日も美波がうちのクラスに遊びに来ているのだ。

「どうしたの?美波」

「えへへ、なんでもないけど、名前呼んでみた♪」

「もう、美波ってば」

「あ、私次化学だから移動しないと」

「ええっ、もう行っちゃうの?」

「だって遅刻しちゃうし」

「むう…じゃあ仕方ないね、いってらっしゃい」

「うん」

私は教科書とノートと筆箱を持って、化学室に向かった。
化学室にはもう、何人かの生徒が集まっていた。