昼休みの体育館裏。

「ほら、行って来いよ」

「ほらほら」

友人の後藤(ごとう)と三河(みかわ)が俺の背中を押す。

「やめろって!」

俺がそう言って嫌がると、後藤はため息をついた。

「あのなあ、言い出しっぺはお前だろ?
UNOで負けたやつが細井(ほそい)に告白するって罰ゲームにしたのは」

細井桃子(ももこ)。
うちのクラスで、一番地味な女子だ。
友達は一人もいなく、本が友達みたいなやつ。

UNOに負けてしまった俺は、細いに告白するハメになった。
そして、十メートルほど先に見える木の後ろで、細井がいる。
後藤と三河が細いを呼び出したのだ。

「そうだけど…」

「ほら行けって!」

「うわっ!」

後藤に思い切り押される。

「あ、大田(おおた)君…」

すぐ傍に、細井君の顔がある。

くそっ、こうなったらやけっぱちだ。