「あ、ごめんごめん。だって、ビックリしちゃって」
みんなの憧れの存在で人気者の麻衣ちゃんが、まさか蓮を好きだとは。
麻衣ちゃんまで蓮の王子様キャラにだまされているんじゃ……。
「ち、ちなみに蓮のどこがいいの?」
「えっとね。須藤君って表面的にはニコニコしてるけど、キャラを作ってる感じっぽい気がするんだよね。みんなの前では王子様キャラを演じてる、みたいな。男友達の前でたまーに素に戻る瞬間があるんだけど、私はそっちの須藤君の方が……自然体でいいなって。一度そう思い始めたら、なんだかすごく気になって……気づいたら目で追うようになってたんだよね」
照れくさそうに話す麻衣ちゃんは、今まで見た中で一番可愛かった。
「いつ好きだって気づいたの?」
「気づいたのは最近かな。本当の須藤君はどんな感じなんだろうとか、もっと色んな顔を見てみたいなっていう欲が出てきた時に〝ああ、私は須藤君のことが好きなんだ〟って自然にそう思えたの」
麻衣ちゃんは人のことをよく見て、自分のこともすごく分析している。それに考え方が大人というか、自分の気持ちから逃げてばかりいる私とは大違いだ。
蓮のことをそんな風に見てくれている人がいて、なんだかとても嬉しくなった。