だから、あの時…。

私は白鳥さんに廊下で詰め寄られたあの日のことを思い出した。

『加賀美君とお付き合いしているのは私です、これ以上私の加賀美君に迷惑をかけないでください』

『あなたのせいで、加賀美君は困っているんです、トロンボーンも最近調子悪いみたいだし』

『全部あなたのせいです』


最初はなんのことだかわからなかったが、段々彼女のドロドロとした異常さに怖くなった私は、その場を逃げ出したのだった。


「それにしても、ストーカーした挙句無理心中なんて…本当に人を好きなやつっていうのは何をしでかすかわかったもんじゃないな。

怖いよ、恋する女って」


松川君は、そう言った。