「目の保養のためにカッコいい男子情報はチェックしてるの。よければ桃にも教えようか?」

なんて冗談っぽく言いながら笑う皐月。

「目の保養って。私は遠慮しとくよ」

「まぁ、あれだけカッコいい幼なじみが近くにいるんじゃ必要ないか」

「うーん……カッコいいとか考えたこともないな」

だって、蓮だもん。

ずっと一緒にいるせいか、見慣れているのもあるんだと思う。

「この、贅沢者め〜! 須藤君ファンが聞いたら激怒するよ」

「あはは! ファンって」

いつものように他愛ないやり取りをしていると、隣の席に人の気配が。

いつものようにイヤホンを耳につけ、周りの世界をシャットアウトしている。

澄ました顔をして席に着いた時、水野君はちらりとこっちに目を向けた。

うわ、やばっ。

思わず目が合っちゃった。

吸い込まれそうなほど力強い奥二重の瞳。

水野君には人の目を惹きつけるオーラがあるというか、黙っていても存在感があってとても目立っている。

「なに?」

突然水野君が声をかけてきた。

片方だけイヤホンを外し、机に肘をつきながら、まっすぐに私を見つめている。

「へっ?」

「いや、ずっとこっち見てるから」

「え? あ、いや、べつに。なにも」