ケータイ小説 野いちご

嘘のような架空の話

会社がうさぎ小屋になっていた。
詳しく言うと、会社がなくなってそこに会社と同じ大きさの馬鹿でかいうさぎ小屋が立っていた。
 体に力が入らない。
 とりあえず車を停め、うさぎ小屋の入り口へ向かって行く。金網と木枠でできた入り口から中を覗き込むと干し草の散らばる薄暗い空間が広がっていた。うさぎ小屋のあの独特の匂いがする。


 少しためらってから中に足を踏み入れる。すると、さっきはなかったはずなのに、入り口のすぐそばににデスクが1つあった。そこにはいつもの受付嬢がうさぎのキグルミを着た姿で座っていた。干し草の散らばる床の上に汚れ1つないデスク、そこには受付嬢、配置だけならいつもの光景なのだが……


受付嬢のキグルミは観光地の顔はめパネルのように頭部の顔の出るところだけがちぎり取られていて、ズタズタのキグルミの切れ目から顔を覗かせていた。。 
私と目が合うと受付嬢は笑顔で
「おはようございます。」
といつものように声をかける。
私が何も答えずにいると、受付嬢が自分が着ているものと同じうさぎのキグルミを
「はい」
といいながら当たり前のように手渡してきた。私がなおも動けずにいると、無表情、無感動にデスクから立ち上がる。全身モコモコの白い毛に覆われている。
そしてモコモコの手で器用に私の手を取ってその手にキグルミを持たせた。
本当に意味がわからない。









< 2/ 19 >