「総司!」

誰かが、沖田の名前を呼んだ。

「新八…どうしたの?」

「俺もいいか?」

「いいよ」

え、この人も一緒に?

「我は……いやじゃ……」

私は、沖田の後に隠れる。

「千夜ちゃん、ごめんね。悪いことなんにもしないから、一緒していい?」

両手を合わせてそう言う男。

「いいよ……」

悪いことしなさそうだし。さっきだって、我のことを馬鹿にしてなかったしね。

「やった!あ、俺は永倉新八、よろしくね!」

敬語……こいつは良い奴かもしれない。でも、こいつも人間……まだ信用してはいけない。人間で安心と言えるのは、沖田くらいだ。

「よろしく…」

「千夜ちゃんは、本当に天狗なの?」

我と新八が隣に並び、その後に沖田が歩いている。

「我は天狗じゃ。昨日まで、山におったわ。じゃけど、気がついたらここにおったん」

新八は、ほほぉと言いながら関心している。

「新八は、信じてくれんのか?」

我は新八のことをじぃーっとみつめる。

「おう、信じる!」

そう言ってニコッと笑ってくれた新八。

「なぁ千夜ちゃん。私のことも下の名前で呼んでくれないか?」

そう沖田が言うと、新八は苦笑いする。

「じゃあ、お前は総ちゃんだ!」

こいつらは、本当にいい人間みたいだな。

「総ちゃんと新八は、新選組なのだろ?新選組はきいたことがある、悪い人間を懲らしめる奴らだと。だとすれば、お前らは剣士だろ?」

「そうだね。それがどうかしたの?」

「お前らが剣を振っている所をみたい」

そう言うと、新八の歩く足が止まった。

「いいよ、じゃあ戻ろっか!」

総ちゃんがそういった。