リリアは時折身体を震わせながらも、その口づけをすべて受け入れる。


「オルキス」


リリアが狂おしく言葉を紡いだ瞬間、口付けが深くなった。

舌先に触れた柔らかな感触にどきりと鼓動が跳ね……リリアは違和感を覚え、ゆっくりと意識を浮上させた。

瞼を開け、視界いっぱいに映り込んだ妖精のように美しいオルキスの顔に息をのむ。


「おはよう」


リリアは慌てて自分の状況を確認するが、それがさらに混乱を招くこととなる。


「オ、オルキス様! ど、どうしてここに!?」


昨晩案内された部屋はとても広く、居間と二つの寝室がある造りとなっていた。

リリアは片方の寝室をつかわせてもらい、ふかふかの大きなベッドで独り眠りについたのだが、目覚めた今、なぜか隣にオルキスがいる。

しかも寄り添うように、身体がぴったりと密着している状態でもある。


「朝になったから、起こしにきた」


思わずリリアは「どんな方法で?」と聞き返しそうになるが、オルキスの口元が意地悪く笑ったのを目にし、ぐっと思い留まった。

わざわざ言葉にされなくとも、その手段がまだ自分の唇に余韻として残っていたからだ。