「お友達...か」
寂しくなったのだろうか、美恵子は不意に足元を見て俯いた。彼女は気づかなかったのだ迫り来る真の恐怖に、あの時彼女が前を見ていればきっと何か変わっていたのかもしれない。
こんなのではダメ!とモヤモヤを打ち消すように前を進み出し顔を上げた時ズシッ、大きな衝撃が体を付きまとった。
誰かにぶつかったのだと謝ろうとした時には力なく地面へと倒れ込んだ。
「っい...た」
嘘...何?
ズキンズキン、と腹部を中心に強烈な痛みが全身を駆け巡る。
痛い...痛い痛い痛いっ...
目線だけを上げるとフードを深くかぶった男が荒く息をしながらニヤリと口角を上げた。
その瞬間ゾクリ、恐怖が頭の中を支配した
「やっと、僕のものだ...」
視界がぼやけて意識が遠のく中、私は彼の顔を忘れないだろう。
生徒達の恐怖の叫び声が校庭に響きバタバタと先生らしき人影が私の肩を揺する。
あぁでも、私死ぬのかなぁ...────。
そう心で呟いた瞬間、完全に意識は途絶えた。