議事録は取るには取ったものの、正直ちんぷんかんぷんだ。

 だから配られた資料を目を皿のようにして知らない専門用語にラインを引いた。
 私にしてみれば専門用語の羅列にため息が出そうだった。

 順に調べていると一緒に会議に出ていた人が声を掛けてくれた。

「西村さん。分からないことは聞いて?」

「はい。ありがとうごさいます。」

 若そうな話しやすい人。
 確か……都築さん。

 倉林支社長とは種類が違うイケメンではある。

 倉林支社長が孤高の気高き一匹狼とするなら、都築さんは誰にでも好かれそうなペットショップのワンコ。

 愛らしくて人懐っこくて、すぐに飼い主が見つかりそうな感じ。

 倉林支社長は……王宮にでも居そうだ。
 飼われてるというより、仕方なく居てやってるという雰囲気を醸し出しそうな……。

 勝手に二人を動物に見立ててあれこれ妄想すると心の中でフフッと笑った。

 想像通り人懐っこい都築さんは私の近くの空いていた椅子に腰を下ろして、親しげに話しかけてきた。