何よ。なんなのよ。
 早く出社したことも気に入らないみたいだし、私にいちゃもん付けたいってわけ?

 憤りを感じながら集めたゴミを外の収集場所に捨てに行こうとして声を掛けられた。

「君は……西村さんだったね?
 西村さんに仕事は頼んでいいのかな。
 もし良ければゴミ捨てから戻り次第、お願いしたいことがあるんだが。」

 少し離れた私からはパソコンを挟んで話す彼の表情は見えない。
 ただ声色は少しだけバツが悪そうな感じが伝わった。

 あんな人でも悪かったな、なんて思うのかな。
 おかしくて笑いを堪えながら「もちろんです。戻り次第、指示をお願いします」と答えた。

「あぁ。頼むよ」ホッと息をついたような彼の声が聞こえて、彼の人となりをもっと知りたいと思った。
 案外、あぁ見えて中身は普通の青年かもしれない。

 倉林崇仁(くらばやしたかひと)33歳。
 イケメン過ぎる支社長に少しだけ興味が湧いた。