私たちは受付を済ませ、太い十字路の真ん中に集まる。実験が終わったら、ここで合流しようと約束をした。

みんなと別れ、私は地図を見ながら目的の棟があるほうへ歩きはじめる。


歩みを進めるごとに周りの人が建物に入っていく。少しずつ人気がなくなっていった。

そして、恐らくここに差し掛かればつくだろうという道に来た。私は、こんな入り組んだ場所で道を間違ったらもう一生戻れないな…と思い、立ち止まって地図を再確認する。

すると、後ろから足音が聞こえ、私の横をすらりとした男子が通りすぎていった。
ちらりとみえた彼の地図には、私が向かおうとしている建物に鮮やかな蛍光マーカーが塗られていた。

この人も同じ実験に違いない!だったら、この道で合ってるだろう。そう思って、道を進んでいくと、目的の建物に到着した。

建物に入ると、さっきの男子とその他五人ほどが既に集まっている。慌ててそこに向かうと、白衣を着た、いかにも博士っぽいおじさんがやって来た。
親戚にいそうな、笑顔が優しいそのおじさんは今回私たちを担当する教授だった。

何となく、白衣にメガネの怖そうな人が出てくるのを想像していたが、それとはまるで異なっていた。


私たちは、よろしくお願いします、と一礼し、教授の後について研究室へ向かった。