二人と別れて帰宅し、スマホで音楽をかけながらボーッとしていると誰かからメッセージがきた。

誠也だ。


[ちゃんと、実験する場所地図みて確認しといた方がいいぞ]

[大学、めっちゃ広い。]

[お前方向音痴だからヤバイと思う笑]

…余計なお世話だ!

…と言いたいところだが、私は自他共に認める最強の方向音痴だ。

地下街の店から出て帰ろうとした時、来た道とは逆方向に歩いてしまい、反対側の出口が見えて慌てて引き返した、なんてことも多々ある。

誠也には適当に返信しつつ、案内に入っていた地図を見る。

『広!!!!』

周辺地図を見ると、三駅分の区画を越えている。

紙一面に印刷された拡大地図を見ると迷路のように道があり、建物がちりばめられている。


私が実験をする建物は、待ち合わせ場所にした正門よりずっと奥で、細い道が袋小路になった場所だった。
正直これはヤバい。絶対迷子になる。

私は正門が手前になるように地図を持ち、入念に道順のイメージトレーニングをした。