「なによ」


「最近この学校に転入してきたばっかりで迷っちゃって……その子同じクラスなんで案内してもらおうかと……」


言い訳が見苦しかったかな。だけどそれくらいしか思いつかなかった。

当然、教室の場所くらい覚えているけど。


「はあ?私ら今忙しいから他の子に頼んでよ」


「んじゃあ、サキトくんに電話してここに来てもらおうっと」


咲都くんなんていつぶりに呼んだんだろう、なんてながらスマホを取り出してアプリを開いてサキに電話をかける一歩手前で「な、なんで咲都くんのこと知ってんの!?」と焦った様子で尋ねてきた。


「私とサキは幼馴染なんで。
サキはこういうことする人が一番嫌いだからやめておいた方がいいですよ。それともやっぱりここにサキを呼びましょうか?」


「な、な…っ!もういい!行こ!」


顔から火が出そうなほど怒りながら先輩たちは去っていった。ホッと胸をなで下ろしスマホをポケットにしまって私も教室に向かおうと歩き出した。