「白井...絶対失礼な事考えてただろ」

失礼なのはどっちよ!と言おうと思ったが、やめた。

だって

昨日、優しい所を見つけた。

今だって、私の事を庇って支えてくれている。

失礼なのは本当に私の方だ。

「考えてない」

「あっ絶対考えてた!今の顔はそーゆう顔だ!」

「どーゆう顔よ」

お互いの名前を知ってまだ1日しか立っていない。

なのに、普通に話せている。

沈黙になっても気まづさは感じられない。

もしかしたら、もっと仲良くなれるんじゃないかなって心のどこかでそう思ってる。

まだ話して2日目。

あまり、男の子と話さない私だから慣れてないはずなのに。

こんなに安心するのはどうしてなんだろう。

不思議...

「何ぼーっとしてんの?降りろよ」

「へ?ぁ...うん」

「白井って何考えてるか良くわかんないな」

「はー?」

訂正。

やっぱり失礼な人!!

「だってぼーっとしたり。怒ったり、忙しい奴なんだな〜って」

「別にいいでしょ」

「笑ってた方が可愛いと思う。昨日笑った時可愛かった」

「は?......なに急に...」

男の子に正面から可愛いと言われ、俯いてる自分が悔しい...。

きっと恥ずかしいんだ。

照れてるのかも。

黒田くんに言われて照れるのがもっと悔しい

「急に俯いて...もしかして照れてるの?」

人混みを歩き改札口を出て、少し歩いた所で足を止めて私の顔を除きこむ黒田くん。

「何見てんのよ!」

「やっぱり照れてんの?」

「白井って感情をそんなに出さないのかと思ってたけど、ちゃんと出すんだな」

「失礼ね」

深呼吸をして平然をきそい、また歩き出した。





学校の門が見えて来ると、そこにはいつも山本先生が立っている。

『おはよー!』

『おはよーございまーす』

山本先生と登校してきた生徒の声がもう聴こえてくる。

「おー、黒田おはよ!」

「おはようございます!」

そっか...黒田くんって先生からもちゃんと認識されてるのね。

この性格だから意外と全校人気あったりして。

それは私には関係ないか...。

人気があっても無くても私には関係ない。

ただの友達なのだから。

「じゃあ、私教室こっちだから。」

「あーA組?」

「B組」

「俺D組!そっか少し教室離れてんだな...残念」

「そう。私はラッキー」

「えっ...っっ?!」

すごく面白い顔で驚いた表情をしていたけど、何も触れず無視して自分の教室へ向かう。

私のクラスはいつも騒がしい。

少し近づけば、誰が話してるとかすぐわかる。

この声は多分。

「おはよう、しおり」

しおりは声が高くて響く。

すぐにわかる。

「おはよ〜!!葵ちゃん!」

私が来ると私の所へ来るしおり。

「ね...昨日の約束覚えてる??」

「うん、覚えてるよ。学校終わったらショッピングモール行こうね」

「うん!!葵ちゃん大好き!」

「ありがとう」

このふわふわ宙に浮かんでいきそうなオーラがとても癒される。

私にはあまり友達が居ない。

だけど、寂しくはない。

特定の友達がいるから。

私の事を理解して、そばに居てくれる友達でいい。

私はそう思ってるから、友達が少なくても平気なのだ。

しおりもその1人。

大切な私の友達なのだ。