混乱の3分間はあっという間に過ぎて、また放送が流れる。
『ただいまより、"トモダチ殺し"を開始します』
そして謎の放送と共に謎のトモダチ殺しというものが始まった。
キーーーーーン
その放送が流れたと同時に、クラス中にキーンといった耳が壊れるほどの鋭い音が鳴った。
「なにこれ…」
私はその音に耐えきれなくなり、両耳を手で塞ぐ。
その音は一瞬で、すぐに鳴り止んだ。
「なんだよ今の音…」
クラス中がますます変な恐怖に包まれる。
「もういい、こんなことに付き合ってる暇はねーんだよ」
すると、怒りの表情をみせた三嶋君が、わけのわからないこの状況で教室から出ようとする。
「おい蓮、どこ行くんだよ」
坂木君は、いち早く三嶋君を呼び止めた。
「決まってんだろ、変な放送に振り回されてるほど俺は馬鹿じゃない、だから帰る」
「待てよ!今は教室から出ない方がいい気がする」
坂木君は嫌な予感を感じていた。
「んなこと知らねーよ!殺せなかったら死ぬとか、んなこと全部嘘に決まってんだろ!みんなだってそうだろ、こんなデタラメ誰が信じるって言うんだよ。本当に死ぬなら、試しに俺を殺してみろっての」
三嶋君の言う通りだ。突然始まったトモダチ殺し、確かに意味がわからないしデタラメだと思う。
しばらく静まり返った教室。だが、三嶋君は急に唸り声をあげて膝をついた。
「う…うぅ」
様子がおかしくなった三嶋君をみんなは不思議に見つめる。
「おい蓮、どうした?」
坂木君が三嶋君に近づくと、三嶋君はいきなり口から大量の血を吐いた。
「おい蓮!!しっかりしろ!」
大量の血は床を赤く染める。そして三嶋君はその真っ赤な血の上に倒れこんだ。
「きゃあああ!!」
女子の悲鳴が響き渡り、クラス内は恐怖に包まれた。
「蓮!蓮!!」
坂木君は三嶋君の名前を必死に呼ぶ。そして三嶋君のお腹あたりを見ると、なぜかナイフが刺さっていることに気づく。
「……ナイフがなんで」
確かにおかしい。さっき三嶋君はナイフを投げ捨てた。だから三嶋君は凶器になるものを持っていなかったのにどうしてナイフが…
三嶋君はナイフが刺さっているお腹を抑えて苦しそうにもがいている。
「…もしかして、三嶋君がさっき試しに俺を殺してみろって言ったから…」
怖がりの理央が震えながらそう言った。
「嘘でしょ?」
「じゃあどうして三嶋君が投げ捨てたナイフが今お腹に刺さってるの!?」
「そんなの知るわけないだろ!!」
みんなが喧嘩を始めて、もうクラスはめちゃくちゃだ。
言い合いをしているうちに、三嶋君は身動きを取らなくなり、静かになった。
「…蓮?おい、蓮!起きろ!おい!!」
坂木君は必死に体を揺さぶったり声をかけたりするが返事はなかった。
「本当に、一人殺された…」
静かな空間に木村君の声が響く。
「そんな…」
真っ赤な血の上で身動きを取らなくなった三嶋君は、もう起きることはない。
『残るトモダチは29人です』
また謎の放送が流れる。
「いい加減にしろよ、誰なんだよ一体!!」
とてつもない恐怖に怯えるクラスメイト達。
これから1ヶ月、私たちは"トモダチ殺し"をしなければいけない…