『"トモダチ殺し"開始まで、あと1日』
昼休み、平和なクラスにいきなり奇妙な放送が流れた。
「おーいなんだよこの放送」
三嶋君は頭に両手を当てながらそう言った。
「何かの間違いだろ、気にしないでいい」
委員長の坂木君は落ち着いた口調でそう返した。
そんな放送を気にもならなかった私、金井美和は親友の香穂と一緒に楽しく弁当を食べていた。
「美和ってさ、好きな人いないの?」
「え?す、好きな人…?」
いきなり香穂にそう言われてふと頭に浮かんだのは、イケメンでなんでもできるクラス委員長の坂木君。
「い、いないよ!それより香穂は?」
坂木君が気になると言えなかった私は、すぐ香穂に聞き返す。
「私は〜まぁいないって言えば嘘になるけど…」
少し顔を赤くして言った香穂。
「え!それっているってことじゃん!だれ?このクラス?」
興味深々になった私は、香穂の好きな人についてなんでも聞きまくった。
「いやそんな聞かないでよ〜!恥ずかしいわ」
恥ずかしいと言って香穂は好きな人を教えてくれなかった。
「みんなー!今から夏の生徒会企画について話すから聞いて!」
坂木君がお知らせのために喋ったと同時に、香穂は口をぽかんと開けて彼を見つめていた。
香穂、ひょっとして…
「香穂の好きな人、もしかして坂木君?」
私がそう言うと、香穂は分かりやすく顔を真っ赤にした。
「っえ!?そ、え、あ、なんで…?」
戸惑っているのがすでにバレバレ。隠し切れてないし…笑
「だって〜坂木君が話し出した途端に顔真っ赤になってるんだもん、香穂」
私がそう突っ込めば、香穂は顔を両手で抑えて恥ずかしそうに笑う。
「もう〜絶対言わないでよ?」
そう言って口に人差し指をたてて内緒のポーズをする。
可愛いなぁ香穂は…恋する乙女って感じ。
「うん、秘密!応援しとるよ〜!」
私の好きな人と同じなんだ。
香穂は私より何倍も可愛いし、人気もあるし、
敵わない存在だから
きっと私の恋はこれで終わり。
なんだろう、すごく複雑な気分。
ケータイ小説 野いちご
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