「李那!すごいよ!あんなに早いとは知らなかった!」
海澪がすごい興奮してる…
蒼空は至って冷静だ。
「蒼空?どうしたの?」
「俺李那が足速いの知ってる。」
…ん?
目の前で走ったことないよね?
あれ?
「…1年前…大会、見に行った…」
…嘘でしょ…
あの大会の時、蒼空、いたの?
「その大会以外も見に行ったりしてた…」
あの1年前の大会を見たってことは…
私の足が動かなくなったってことを見てたってことだよね…?
丁度蒼空と仲良くなったのも…
1年前の大会以来だ…
「蒼空、私の足に興味を持って近づいてきたでしょ?」
「初めはそうだったよ。
だけど、李那を見てて純粋に友達になりたくて近づいた。」
…ふぅ…
「ならいいや!何でもない!」
「李那…」
ーガクッ…
あ、やば…
「李那!」
「李那?!」
力抜けちゃった…
「李那!大丈夫か?」
え、裕くん?!
「裕くん…?」
「ごめん、いてもたってもいられず…大丈夫か?」
ほんとに優しいなあ裕くんは…
自慢の彼氏だよ。
「今、無理だ…全身力抜けてるから…」
「そうか…とりあえず陰まで俺が連れてくよ。」
「え?!」
聞き返す暇もなく裕くんは私を抱えて日陰まで連れてってくれた。
「ここなら涼しいだろ?」
「…そだね、ありがとう」
「お姉ちゃん!大丈夫?」
「美那?」
声のした方を見てみると我が妹が駆けつけてくれた。
「お姉ちゃん現役にも負けないなんてすごいわ…体平気?」
「うん、裕くんがここまで連れてきてくれたから。」
裕くんは私を見て満面の笑みを浮かべていた。
「そりゃあ大事な彼女ですから?」
「ふふっ」
「李那さん!大丈夫ですか?」
どっかで聞いたことのある声だなあ…
えーっと…あっ!
「風雅くんじゃん」
「美那が一目散に李那さんのところ行くんで追いつけなかったっす…」