私が病気になって2度目の体育祭が来た。
当然私は投薬受けて万全の状態で挑んでいた。
心臓がバクバクしてる。
だって…久しぶりに走るから。
私の出る種目はリレー。
それもアンカーだ。
ドキドキ以外の何物でもない。
「李那、緊張してるの?」
「当たり前でしょ?久しぶりの舞台なんだから。」
私にとって久しぶりの体育祭という舞台。
「李那、落ち着いたら出来る、もし辛かったら呼んでくれ。」
蒼空…ありがとう
「李那ー!しっかり受け取れよ!」
「了解!」
海澪…
よし、大丈夫、動くから…
落ち着け…
落ち着くんだ、自分…
「李那…落ち着いたら走れるから…深呼吸な。」
裕くん…
よし!皆応援してくれてるから頑張ろう!
「位置についてー…よーい…」
パァン!
一斉にリレーがスタートした。
私はアンカーのため、まだ先だ。
あと3人…
大丈夫だから、しっかり動いてよ…
あと2人…
落ち着け…大丈夫…
あと1人…
よし、そろそろ準備…
私はコースに向かって歩く。
足が震えてるのが分かる。
「李那!」
「…」
「楽しんでこい!」
海澪の声で私は覚醒して走り出した。
大丈夫、100メートルくらい余裕だ。
現役の時はずっと走ってたんだから。
「李那!深呼吸忘れんなよ!」
分かってるよ、裕くん。
走りにも呼吸が大事って教えたの私なんだから。
『おーっ!2年3組!凄まじい勢いでアンカーが飛ばす!』
2年3組…あ、私のクラスか。
『4組が追い上げてくる!逃げ切れるか?!3組?!』
…わざとゆっくり走ってるのわからないのかな?
4組に抜かれる寸前、私は思いっきりスピードアップした。
ビュンビュンって、風を切る音。
確か長距離ってこれを聞くことは出来ない。
これを聞くことが出来るのは短距離だけ。
『3組!凄まじいスピードで如月選手、ゴールです!堂々たる1位です!』
放送うるさいな。
まあ、勝てたからいいか。
「李那!すごい、足速いんだ!」
まあ、私海澪と蒼空の前で走ったことなかったしね。