「嫌! そんなの嫌っ。校舎を取り壊さないでください! 教室がなくなっちゃう。みんながいなくなっちゃう」

「凛々子さん……」

「うぅっ、取り壊さないでよぉ……」


先生は泣きわめく私を抱き寄せ、「ごめんなさい」と言った。


「私のせいで、凛々子さんにこんなつらい思いをさせてしまって。悲しい記憶を蘇らせてしまうから、本当はこの教室を見せるべきじゃなかったんだわ。それなのに私は……」

「うぅ……」

「私があのとき連絡さえしなければ、凛々子さんがこんな風になることはきっとなかった。無責任なことをしてしまってごめんなさい。本当にごめんなさい」


消え入るような声だった。


先生は私が“幻覚”を見るようになってしまった原因が自分にあるのだと、責任を重く感じているようだった。それが私の胸をさらに強く締め付けた。


「うわあああん!」


私は校舎中に響き渡るような大声で泣き叫びながら、何度も教室の外に飛び出しては、中に駆け戻った。


そんな私を、先生は気の毒そうに見ていた。