スマホの画面を見ると、隅っこにLIVEという文字が点滅していた。
さらには、秒数のカウントまで始まっている。
な、なに?
もしかして、ムービー撮ってる……?
や、やばっ!
しかもスマホは男子のほうを向いていて、バッチリ画面にその姿が映ってしまっている。
カメラ目線でこっちをじっと凝視しているその顔は、やっぱりイケメンだ。
桜の花びらが彼の周りをひらひら舞って、とても幻想的で綺麗な画が撮れている。
スマホの画面の中で目が合い、再びドキッとした。
「なに隠し撮りしてんだよ」
すると、低く不機嫌な声が聞こえた。
眉を寄せて、明らかに迷惑そうな表情を浮かべている彼。
そりゃそうだ、誰だって突然ムービーなんか撮られたら嫌な思いをするに決まっている。
ましてや知らない人にされたなら、なおさらだ。
「ご、ごめんなさいっ! すぐ止めるから!」
慌てて画面をタップして撮影終了ボタンを押す。
テンパっていたものの、どうやらボタンは合っていたようで、ムービー画面が終了した。
敵でも見るような鋭い目つきを私に向けて、目の前の彼は怒っているように見える。
私は気まずさを抱えながら、手にしていたスマホをカバンの中にそっとしまった。
「ストーカーとか、勘弁しろよな」
「え? ス、ストーカー……? って、誰が?」
ビックリしすぎて思わず目を見開く。
「あんただよ」
「わ、私?」
「それ以外に誰がいるんだよ」