だから遠慮なくズバズバものが言えるんだ。
中学は一学年二クラスしかなく、一年と三年の時には蓮と同じクラスだったから、ほとんど毎日一緒にいるようなもの。
高校まで一緒だから、この先も長い付き合いになる。いわゆるくされ縁というやつだ。
「ふぅ、なんとか間に合いそうだね」
マンションから徒歩五分のところにある駅にたどり着き、ちょうどホームに滑り込んできた電車に飛び乗った私と蓮。
私はドアのすぐ近くに立って、外の景色を眺めた。
都会でもなく田舎でもない私の地元は、生活するにはなに不自由ない環境が整っている。
駅のすぐそばにある本屋さんにドラッグストア。
駅に隣接するように建つ小さなスーパーの野菜は、店長のこだわりでオーガニックのものを仕入れているため、とても新鮮で美味しいの。
子どもの頃、蓮とよく遊んだ大きな公園。
公園の近くにある市役所や図書館。
電車の中から、見慣れた風景をワクワクしながら見つめる。
五駅先の高校、時間にすると十五分くらい。憧れだった電車通学に心が躍る。
「マジで焦ったし。桃にはいっつも、ハラハラさせられる」
蓮は隣で息を整えながら、恨みのこもった目を私に向ける。
「ごめんってばー。私だって早く起きる努力はしてるんだよ?」
朝が弱いから、昨日はいつもより一時間も早く布団に入った。
それでも、ワクワクドキドキして寝れなかったんだよ。
「結果が出なきゃ意味ないだろ」
「もう、いい加減許してよ」
こうなるとほんとに長いんだから。
蓮の視線に気づかないふりをして、外の景色を眺め続けた。
四月上旬の今日、新しい制服に身を包み、楽しみで仕方がなかった高校生活が始まる記念すべき日。
中学はブレザーだったけど、高校は白を基調としたセーラー服だ。
襟の部分に紺色のラインが入っていて、胸元にはピンクのリボンがついている可愛いデザイン。スカートは紺色のプリーツスカート。
このセーラー服は、地元の中学生にとても人気がある。
男子は普通の学ランだけど、セーラー服と並ぶと、なぜかとてもオシャレに見えるんだ。