久松さんは、私が福花天の店に行った時「うどんに合いそう」と言ったことを覚えていたらしい。

ついでに小料理屋の宣伝をしてくれるなら、とかなり安くで提供してくれることになった。



「数は少ないから、しばらくは常連さん限定になるかもしれないけど、天ぷらうどんも食べられるようになりますよ!
すっごく美味しいから、絶対おすすめです‼」



思わず力説してしまう。

雅春さんに少し笑われ、恥ずかしくなった。



「本当に嬉しそうだな、お美弥」


「あ…すみません、なんかアツくなっちゃって…」


「それは構わない。だが……」



雅春さんは、ふと立ち止まり、近距離から私の顔をのぞきこむ。



「その笑顔を引き出したのが、他の男なのだと思うと…気にくわないな」


「へ?」


間抜けな声が出てしまう。


…よく分からないけど、とりあえず近いんですけど


つい後ずさってしまった。