『書道部』



筆を持つことは、やめたはずなのに…。



元々、書くことは嫌いじゃなかった。



硯に墨をするのは心が落ち着くし、墨の香りも結構好き。



そして私のバッグには、今でも毛筆で書かれた新入生挨拶の紙が入ってる。



書道部を訪ねたら、書いた人が誰か分かるかな?



そんなこと、知ってどうするの?



「決めた?」



深夏に聞かれて、自分が書道のことを考えてたことに気がついた。



「…まだ。」



「ま、あと1週間あるから焦らなくても良いけどね。」



そう…だよね。