これから夏帆は本当の上原と付き合うのだ。


それは喜ばしいことでもあるのに……




胸が、痛い。




「お前こそ、慎也と進展はなしなのかよ?」
「え?あ……須藤くん?」


突然話しかけられて我に返る。


何考えてんだ、私。
バカみたい。


忘れようと思い、慌てて上原の質問に答える。


「まぁ、ないっちゃないかな。
祭り以来会ってないし。


あ、でも須藤くんって意外と感情が豊かなんだね。」


ずっと笑顔で、だけど裏は怖い、みたいなイメージしかなかった。


でも今では須藤くんはそういう人じゃないっていうのわかったから。


猫カフェに行った時もそうだし、夏祭りとかでも須藤くんはとにかく優しかった。


本当に綺麗な人なんだなって。


それに顔には出さないだけで、色々思ってるみたいだし……。