私は、慌ててそのお墓を見た。
確かに『香月』の名前が彫られていた。

社長と副社長。
そしてお姉様のお母様が眠っている。

そう思うと心臓がドキドキと高鳴って
緊張してきた。

私がこんなところに来ても
いいのだろうか?

すると副社長は、お墓を見ながら

「俺は、一緒に行かないけど家族が墓参りに行くから
先にお前に見せておこうと思ってな」

そう口に出した。

「どうして私なんかを……?」

不思議に思い尋ねる。

何の関係もないのに……?

だが副社長は、

「……お前が過去の話に触れたからだ」

「えっ……?」

「姉貴のカバンに盗聴器を仕込んでおいた。
バーで姉貴が話したことは、全て筒抜けだ!
まったく……余計なことをしやがる」

ブツブツと怒りだす副社長。