7月に入り、7日に日本に戻ると連絡があった。

空港まで迎えにいきたかったけれど、充彦からくるなと断られた。

それならば充彦の好きなものでもつくってみようかと、買い物に出たけれど、デパートやスーパーで七夕の飾りをみつける。

風になびく色とりどりの七夕飾りをみたら、鼻の奥がきゅっとして、胸が苦しくなりながら、『充彦が無事に日本に帰りますように』と書いたのを思い出す。

「ちょっと、子供っぽいんじゃない」

「亜姫と一緒にいたいからさ」

旅立つ前にスーパーでこぢんまりとした笹を二人で買ってきて、小さな短冊に願いを書いた。

充彦は『ずっと変わらない』と書いた。

「亜姫は?」

と、屈託のない笑顔で黄色い短冊を渡してくれた。

「わたしは……」

「一緒になりますように、じゃないんだ」

と、首を傾げながら充彦が自信気にいってきた。

「だったら充彦が書けばいいじゃない」

「今度日本に戻ったら」

と、充彦は泣きそうなわたしにフレンチキスをしてごまかした。