ヤヨのすぐ目の前で
立ち膝ついた。



向かい合って
じっと見つめると
ヤヨは「なに」って二文字。



若干、緊張してきたけど。



「あたしコレ、初めてだったんだけど」


あたしの首元のキスマークを
指しながら
ちょっと、文句っぽくヤヨに言う。



「あ、そう」


あっそうじゃないでしょ。



「あたしも付けたい」



そう言って少し近寄ると
ヤヨはびくっと肩をあげる。



でも残念なことにあたし
キスマークのつけ方わかんないし。


そういうのネットで調べるみたいな
気持ち悪いこともしたくないし。




「どうやってつけるの?」


首元のボタンぷちんと外して


鎖骨、ここ。


「……だ、だから、ここどこだと思ってんだよ!」



「誰もいない」



にやっと笑うあたし。
だって、ヤヨがたじろいでる。




「教えて。せんぱい」


「……ムリ」


あたしを置いて立ち上がろうとしたヤヨを
底力ホールドで引き止めて


目が合ったから、

とりあえず唇奪っておいた。



だって、なんか
ほっぺ赤くて可愛いから。




キスマークのやり方、
ヤヨの説明よくわかんない。



でもあたし、首元に
唇つけて、頑張った。



唇を離すと
ちゅぱっていった。
ちょっと恥ずかしい、これ。



「……こう?」



「……しらね」




がばっとヤヨが立ち上がって、
今度はほんとにあたしを置いて
下駄箱行っちゃったから
うまくできたかわかんない。



靴を履いてヤヨのところに行って

「上手にできた?」


って聞いたら


「ヘタクソ」



って、ヤヨのばか。