「何か問題でもあるのか?」


「全く無いよ!でも、あまりにも突然だったから…」


「紅月が“碧瀬”って呼び始めたから、二人で同じ呼び方すると、なんか紛らわしいだろ」


「わ、私は別に……」


「文句あるなら、今までどおりに呼ぶけど」


「う、ううん!文句なんてないよ!むしろ、ありがたいっていうか、大歓迎!!」


慌てて壱夜くんの傍に駆け寄ると、苦笑いが返ってきた。


「……おかしなヤツ」


少し不機嫌そう…。


また、声が大きくなっちゃったから気に障ったのかな?


さっさと歩いて行く壱夜くんを見ながら首を傾げると、桃舞くんが私の耳元に顔を近付ける。


「あんな回りくどい言い方しなくてもいいのにね」


「えっ?」


「あの感じだとグイグイ入り込めそうだし、頑張って!」


ポンポンと私の肩を軽く叩いて、桃舞くんはニコリと笑った。


そんなに上手くいくか分からないけど、名前を呼んでくれたのは素直に嬉しい…。


初恋の女の子よりも、私を好きになってもらえる可能性がある限り…


全力で突っ走ろう…。