「あー!
海斗くん、真菜に教えてもらってるのに今回も順位悪いよ!?」


……タイミングよく夏帆が入ってきて、上原は夏帆の方へ歩いていく。


「まじでー!?
今回よかったと思ったんだけどなー!」


あの人懐っこい笑みを浮かべながら大きな声を出し、周りからいじられる上原。


これで内心ではうざいって思ってるから怖い。


「………小野田さん、大丈夫?」


と言う須藤くんの声にはっとする。


「ご、ごめん!
大丈夫だよ……!ぼーっとしてた。」


急いで須藤くんに視線を戻し、笑う。


「今度こそ須藤くんに抜かれそうな気がする。」


また上原に教えてもらうしかないかぁ、なんてすでに上原を頼ろうとしている自分がいてどこか悔しい。


「そんな簡単にはいかないよ。
今回はたまたま調子が良かったんだ。」


「調子が良かった?」


「そう。今回は頑張ろうって、思ったんだよね。なんでだろ?」


なんでだろ?って言われても……


私だって気になる。


何かいいことでもあったのかな。
彼を上機嫌にする何かが……。