「須藤くん……!
私はいつまでも須藤くん側の人間だから!
さっさと上原なんてやっつけて総長の座奪っちゃえ!」
「………あのなぁ、族内で喧嘩してどうすんだよ。」
私は須藤くんに話しかけたのに、須藤くんは困ったように笑うだけで何故か上原が話し始める。
「そりゃもう上原を追い出すためでしょ。」
「バカか、お前は。
そんな追い出すくらい信頼のないやつを総長に置くわけねぇだろ。
裏切りならまだしも、俺らの族にそんな裏切り者はいねぇよ。」
自信満々に言う上原が、どれだけ仲間を信じてるのかはわかった。
それでも……
「私は上原を総長と認めないから!」
私はやっぱりこんな奴がトップに立つなんて信じられない。
「………だからなんだよ?
別にお前が認めなくても関係ねぇし。」
「そうですね!
これからも頑張ってくださいねー!」
「………腹立つ、こいつ……!」
結局また言い合いになったところを須藤くんが間に入って止めてくれた。
迷惑かけてばっかだな、と少しだけ反省する私。
………この時の私だって冗談のつもりだった。
上原と須藤くんが喧嘩するなんて、ありえないと思っていた。
きっと2人だってこの時はそう思っていただろう。
だけどこれから先、まさか2人の間に亀裂が入ることになるなんて
誰も、予想すらしていなかったと思うんだ。