新井くん私のために勝平に頭を下げた。

こんな私のために…。

ガチャ……

勝平が玄関のドアを開けて

私を玄関の中に入れた。

バタン……

ドアが閉まって……

新井くんの姿が見えなくなる。

新井くん……

ドクン…

息が苦しくなっていく…。

…ズキ…胸が苦しくて仕方ない。

最後に…また…

また新井くんを傷つけてしまった。

「紗和…っっ!」

玄関で私の両頬を両手で

押さえつけた勝平が目の前で

私の名前を叫んだ…。

…勝平じゃないみたい。

私が知っている勝平は、どこ?

勝平が私をリビングに引っ張り

ソファに放り投げる。

ドサッ……

「いたっ……」

「……アイツと寝たのかっっ?」

「…え…何?」

「何じゃねーよっ!

お前らバカにしてんのか?」

バンッッッ!

勝平は、自分の革のビジネスバッグを

床に投げつけた。

何度も…何度も…

バッグの持ち手が

ボロボロになるまで…。

「…勝平…やめて…お願い…」

恐くて声がうまく出ない。

涙が溢れて目の前が見えなくなっていく。

それでも必死に泣きながら懇願した。