新井くんが勝平の腕を掴んだ。

「…はぁ?何だよ…お前…この前といい…

紗和につきまとってんじゃねーよ。」

「……勝平…待って…。」

勝平が新井くんに掴みかかろうとするのを

止めようとすると

バシッ

「きゃっっ……」

勝平が私の手を振り払った反動で

転んでしまった。

「先生っ!」

新井くんがすぐに駆け寄ってきて

私を支えながらゆっくり起こしてくれる。

「…おい、お前…紗和から離れろっ!」

ドンッッ!

勝平が新井くんの胸ぐらを掴んで

投げ飛ばした…。

「…しょっ、勝平…やめて…っっ」

……私…本当にバカだ…

もう、終わり……何もかも、終わり。

さらに勝平が新井くんに

掴みかかろうとしたその瞬間……

「……すみませんっっ!」

新井くんが勝平に頭を下げる。

「俺、ずっと…奥平先生が好きでした。

けど…

さっきフラれました。

あなたの事が好きだからって。

あなたが大切だから…

俺の入る隙間はないって

はっきりとフラれたんで…。

もう俺……

二度と先生に付きまといませんから。

先生は、全然悪くないです。

悪くないんで……。

お願いします…責めないで下さい。」

そう言って新井くんは勝平に頭を下げた。

「お願いします…。」

「お前…二度と顔見せるなよ。」

それだけ言うと勝平は、私の手を引っ張り

アパートの方に歩き出した。

新井くんは、ずっと頭を下げ続けていた。