あきらかに陸くんはサナを気にしている。

 陸くんの、サナへの想いはまだ切れていない。
 陸くんと離れる可能性はまだ残っているのかもしれない。


 さりげなく、サナの事を聞いてみようと、話題を繋げようとした時、


 サナが教室に入ってきた。


 ………言わなきゃ。
 おはようって、挨拶しなきゃ。


 今挨拶しなきゃ、もう話せるタイミングなんてない。


 今話さなきゃもう最後まで話せない。


 分かってるのに話していなかった期間が長すぎて
私たちに目を合わせず、自分の席へ向かうサナを見ては胸が痛んだ。


 堀内くんの席をチラッと見ては、荷物を持ち自分の席から立ち上がるサナ。


 最近一緒にいる友達に何かを伝え、そのまま教室から出て行ってしまった。