「……無理でしょっ。」

「…え?何でよ?」

「そりゃあ…フラれるんだからね。

フルなら、中途半端はダメだよ!

ズバッと…

木っ端微塵くらいにしてあげなきゃっ。」

「……木っ端微塵っ!?」

「そうそう……。」

「…え、そんなの…できない。」

「えー!もしかして?」

「違うからっ、そうじゃない…

でも……。」

「……でも…?」

「わかんない……。」

わからない…

正直…

彼の顔を見ると…あの笑顔を見ると

心が乱れてしまう。

それにあんな切ない顔されると…

突き放す事ができなくなる…。

でも、それは生徒である彼を

傷つけたくないから…。

「なんじゃそりゃ…

澤山先輩にチクっちゃうぞ!」

そう言って日向子はビールを飲み干した。

あ……勝平がこの事知ったら?

ドキン……ドキン

急に胸が息苦しくなってきた。

それと同時に…

この前の勝平の顔が浮かんでくる。

もし、勝平がこの事を知ったら…。

「……紗和?」

「……あ、何?」

「大丈夫?

何か、顔が…青くない?」

「…ううん、大丈夫。」

「……もしかして澤山先輩と

うまくいってないの?

プロポーズされたんだよね?」